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胸をかきむしられるような敗北だったと思いますが、表彰式のあいだ、フェデラーはいつもの冷静さを失うことなく紳士的にふるまい、勝者を称えました。しかし、内心では苦く煮えたぎるものもあったに違いありません。事実、表彰式後の記者会見では、フェデラーは苦悩する姿を記者に見せています。以下は、大会公式サイトに紹介されていた記者会見の模様です。フェデラーも人間です。これを読んで、ますますフェデラーを応援する気持ちが強くなりました。 ………………………………………………………………………………………………………… フェデラーの暗澹たる時間 フェデラーは9時55分に記者会見室に現れるはずだった。ナダルの記者会見は10時20分から。王者が敗北をどう自己分析するかに関心が集まるなか、記者会見は10分だけだと言い渡すかのように、敗者は10時10分に姿を見せた。悲しげで、目は赤みを帯びていた。記者会見が始まると、フェデラーはジェットコースターのように激しく感情を起伏させた。 「2人ともいいプレーをした。雨はそれほど僕に味方しなかった。勝てなかったんだから。そうだろ。風にも少してこずったし、暗さにも苦しめられた。でも言い訳はできない。今日の負けは、これまでのキャリアでいちばん辛い負けだ」そう言ってフェデラーは眉をしかめ、力なく肩をすくめた。 途中から会見がフランス語に切り替わると、フェデラーは目に見えて無愛想になり、言葉を選ばなくなった。「試合終了近くには、相手が誰かもわからないほど向こうが見えなかった」そういうと、この件についての質問はここまでと言わんばかりに、もういちど肩をすくめた。 「65連勝を止めた相手がナダルのような素晴らしいプレーヤーだったことは救いになるか」と問われ、フェデラーのユーモアはますます暗くなった。「救いになどならない。だいたい、きょうはまったく何も新しく学んだことがない。とくに、芝の上で彼とどう戦えばいいかについてはね。やりきれない。パリでの負けは何でもなかった。でも、ここで負けたのは最悪だ」 フェデラーがついにぶち切れたのは、「世界ランキング1位を守るために、次のトーナメントで獲得しなければならないポイントを知っていますか」と尋ねられたときだった。ランキングは過去1年の獲得ポイントの合計で決まる。1年を過ぎたポイントは合計から外される。この時期、外されるポイントのいたずらで、フェデラーは次のトーナメントでナダルより相当多くポイントを取らなければ世界1位の座からすべり落ちるのだ。「好きなように書けばいい」フェデラーはそう答えると、ため息をつき、質問をした記者をにらみつけた。「オリンピックと全米で勝って、いいかたちで今シーズンを終えられるように頑張る。それだけだ」 いつもフェデラーに好意的なスイスのドイツ語メディアが、フェデラーを元気づけるつもりで、「ハードコート・シーズンの後半に入る前に、少しは休養するのですか」と質問したが、それも慰めにはならなかった。偉大なものほど、墜落の衝撃は大きい。これまでウィンブルドンにはフェデラーより偉大な存在はなかったのだ。
by tennis_passtime
| 2008-07-08 23:04
| ●プロテニス
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