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![]() 何が書かれているのだろうという好奇心から、田嶋幸三著『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(集英社新書)を読みました。著者はかつての日本代表プレーヤーで、現在はJFA(日本サッカー協会)専務理事、JFAアカデミー福島(中高一環のサッカー選手養成学校)スクールマスターです。 サッカーでは正確な判断から正しい動きが生まれる、判断ができないとサッカーはうまくならない、日本人は判断が苦手である、判断力の基礎は言語と論理である、ゆえに日本サッカーを強化するには言語と論理の教育から始めなくてはならない……というのが著者の切実な問題意識であり、本書のテーマです。 本書で「言語技術」という言葉には、自分で考えてプレーする能力、プレー中に自分の考えを味方に伝える能力、指導者が選手指導やチーム統率のために的確なコミュニケーションを取る能力といった幅広い意味が含まれています。なぜ今のプレーを選択したのかを説明できること。そこにパスを出すことを味方に瞬間的に伝えられること。この方法がいちばんいいのだと根拠をもって選手たちを納得させること。ピッチ上でもピッチ外でも、瞬時にも長期的にも、言語技術はなくてはならない、というのが著者の考えです。 言語技術強化の取り組みの現状として、本書では、著者が創設したJFAアカデミー福島で行なわれているロジカルコミュニケーションの授業内容や、JAFがS級ライセンス(5段階あるJFA公認指導者資格の最高位で、プロチームおよびプロ選手を指導できる)の講習で行なわれているディベートのカリキュラムなどが、相当な紙幅を割いて紹介されています。 これを読んでなるほどと思っても、そこから自分のチームを強化していこうとする指導者は少ないでしょう。そんな国語の授業のようなことをやっている暇があったら、明日の試合のためにドリブルやシュートの練習をさせようと思うのが人情です。その意味で、著者の長期的視野に立った努力には頭が下がります。周囲の無理解に屈することなく、サッカー技術と人間性を養う理想の学校を創立することから始めたのですから。 JFAは、2050年までに、①サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが1000万人になる、②FIFAワールドカップを日本で主催し日本代表チームが優勝する、ことを約束として掲げています。この目標が実現するとき、日本サッカーの言語技術、ひいては日本のスポーツ文化が、どのような成熟を見せているのか楽しみです。 最後に、自分のテニスの参考にしたいと思った気づきをひとつ紹介します。 90年代に川渕三郎をはじめとする強化委員会は、最初に、つねにボールとゴールを見ることのできる良い身体の向きをつくること、正確に判断ができる視野を確保することの指導に取り組んだそうです。 欧米の選手たちを観察していると、ボールをもらう前に、事前に良い視野を確保しています。ボールが来たとしても、すでに自分がどのような状況にいるのか、という情報を収集し終わっていて、次の動作に入る準備ができています。だから、ボールが来たときにはどこへ蹴るのか、止めるか、クリアーするのか、も決まっているわけです。すなわち、ファーストタッチには、「論理」が働いていなければならない。(160ページ。下線は引用者)テニスはサッカーほど複雑な競技ではありませんが、それにしても私はあまりにも考えなさすぎなので(飛んで来た方向にただ打ち返している)、もう少し考えながらプレーしようと思いました。それには、相手の球を見てからどこに打ち返すかを考えるのではなく(時間が足りないのでとりあえず来た方向に打ち返している)、自分が打ち終わったら、相手の返球を予想して、それを次にどこへ打ち返すかを考えながら相手の球を待つ、ということでしょう。え、そんなこと誰でもやっている? 失礼しました。
by tennis_passtime
| 2007-12-26 01:04
| ●読書ノート
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