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![]() スポーツジャーナリストの玉木正之氏がNHKの「週刊ブックレビュー」で勧めていたので、森田浩之著『スポーツニュースは恐い――刷り込まれる〈日本人〉』(NHK生活人新書)を手に取りました。 スポーツニュースの何が「恐い」のでしょう? スポーツニュースに接するとき、私たちはたいてい現実の憂さを忘れようとしており、意識は弛緩しています。スポーツニュースは、そんな私たちの無意識に、競技の結果やアスリートの人間ドラマに事寄せて、たとえば男女のあり方についての固定観念や、ステレオタイプな日本人らしさを刷り込んでくる、と著者は言います。たとえば次のような刷り込みです。 ・男勝りの女性アスリートもやはり女。女らしい一面がある(なくてはならない)。彼女たちはアスリートである前に女であり、妻であり、母である。彼女たちが活躍できるのは夫の理解と支えがあるからこそ。「あとがき」でタネあかしされていますが、この本は、デイスコース・アナリシス(言説分析)の手法でメディア・リテラシー(メディアの発する情報をうのみにせず、批判的にみていく姿勢のこと)の必要性を説いた本です。そう言うと小難しそうですが、分析されている言説(談話)が、毎日読むスポーツ欄の記事であり、スポーツ中継の実況アナウンスや選手のインタビューなので、スラスラ読めます。 正直なことを言うと、たかがスポーツニュースに目くじらを立てなくてもいいじゃないかと、いささか斜に構えた姿勢で読み始めました。しかし読み進むうちに、スポーツニュースに批判的に接することの必要性がわかってきました。つねに疑心暗鬼で裏を読むということまではしなくとも(やりたくてもできません)、「危険」が潜んでいることを頭の片隅に置いておくぐらいのことは必要かもしれません。 この本とは別の視点からですが、私がスポーツニュースに感じる問題は「手のひら返し」です。昨日の人気者が今日は鼻つまみ者になります。持ち上げておいて落とします。また、現実の複雑さから私たちの目を逸らしてしまいます。このあたり、送り手にその意図はなくても、スポーツニュースには私たちを、物事を深く考えることをめんどうくさがる、気分に流されやすい存在にしてしまう危険性が潜んでいるかもしれません。そういえば最近、政治や社会のニュースがスポーツニュース化しているような気がするのですが……。 「こんなスポーツ中継は、いらない!」もぜひ、あわせてお読みください。
by tennis_passtime
| 2007-10-29 23:59
| ●読書ノート
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