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![]() わが家の愛犬はビーグルのアルフ。いまから10年近く前、1歳半ぐらいのとき、庭につないでいた紐を噛み切って迷い出てしまったことがあります。どうせ美人のメス犬でも追いかけていたのでしょう。(飼い主に似ているというべきか。) アルフがいなくなったことに気づいた私と妻は、近所を懸命に探し、手当たりしだいに犬の散歩仲間にもたずねましたが、見つけることができませんでした。保健所に連絡して、あとは保護の報せが入るのを願うしかないという状況になってしまいました。 ……………………………………………………………………………………………………………………… 同じとき、別の場所で…… Pさんが自宅から駅までクルマを走らせていると、国道1号線沿いの歩道を一匹のビーグル犬がふらふらと歩いているのが目にとまりました。 一見して迷子犬だとわかりました。交通量が多くて危険だし、早く保護しないと飼い主の元に戻れなくなってしまうかもしれない。そう考えたPさんは、駅にクルマを走らせながら、現場近くのマンションに住む友だちのQさんに電話をかけ、あなたの家の窓から見える交差点に迷い犬がいるから保護してちょうだい、帰りに私が引き取るから、と頼んだのでした。 わんぱく盛りのビーグル犬をなかなか捕まえられなかったQさんは、コンビニでハムなどを買い、エサでおびきよせて首輪をつかんだのでした。(恋をしたのなら、エサに釣られたりせず最後まで貫けよ。そんなところも飼い主に似て中途半端です。) Qさん宅に回ってビーグルを引き取ったPさんは、アルフを自宅に連れ帰り、保健所に通知してくれたのでした。 ……………………………………………………………………………………………………………………… 失踪翌日、保健所から我が家に電話がありました。どうやらお宅の犬らしいビーグルが、Pさんという方の家に保護されています、という報せでした。2日経って見つからなければ、最後まで戻って来ない確率が高くなると聞いていたので、家族一同、ほっと胸をなでおろしたのでした。 電話でPさんと話しました。姿かたちといい、発見された場所や時間といい、まず間違いなくアルフのようです。それでも、もし違っていたらどうしようという一抹の不安を抱きながら、Pさんのお宅に向かいました。 電話で教えられたPさんのお宅は、歩きでも我が家から10分ほどの近所でした。家を探し当てた私の目に、玄関先につながれて、チョコンと座っているアルフの姿が飛び込んできました。やれやれ、無事でよかった。 ……………………………………………………………………………………………………………………… こんなにまでしてアルフを助けてくれたPさんは筋金入りの愛犬家でした。Pさんは、捨て犬や捨て猫を救うための活動をしている団体のサポーターだったのです。 そんなPさんと玄関先で愛犬談義をしているとき、片隅にカゴ一杯のテニスボールがあることに気づきました。それは毎日使い込まれているような気配を漂わせたボールの山でした。 「テニスなさるんですか?」 「ええ、今日は有明の大会で審判をやってきたんです」 筋金入りの愛犬家は、なんと筋金入りのテニスウーマンでもあったのです。聞くと、アルフ発見の朝、Pさんが駅に向かっていたのは、朝早くテニスの大会に向かう息子さんをクルマで送るためだったからで、そうでなければ、あんな時間にあのあたりを走ったりはしなかったというのです。 これぞ天の配剤。まさにアルフはテニスに救われたようなものです。(そこがいちばん飼い主に似ているところだということにしておきましょう。)
by tennis_passtime
| 2006-09-24 00:24
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