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![]() 『ラファエル・ナダル自伝』ジョン・カーリン著、渡邊玲子訳、実業之日本社刊)を読みました(写真は原書カバー)。 スーパースターの意外な側面、家族・親戚との強い絆、友人たちとの関係、出身地マヨルカ島の人間関係重視文化、コーチで叔父のトニー・ナダルとの関係、サポート・チームの貢献ぶり、足の故障との闘い、コート上での闘い、両親の離婚がもたらした苦悩など、およそファンが知りたいことのすべてが、巧みな構成で読みやすく盛りこまれていました。 フェデラーを泣かせていたころのナダルは私には敵役でしたが、いまのナダルはジョコビッチにいじめられて苦しむ存在。この本を読んで、これからはもっと応援しようと思うようになりました。以下、「なるほど」と「へぇ〜」をアトランダムにメモってみます。 ●2007年ウィンブルドン決勝でフェデラーに負けた後、更衣室で30分も泣き続けた。 ●コーチのトニー・ナダル、厳しすぎ。勝っても褒めない。「相手のほうが上手かった」とかなんとか。ちょっとぐらい褒めてもいいんじゃない?と思うほど。 ●子どもの頃、他の子は帰らせても、ナダルにだけコート整備をさせたりした。特別扱いしないとは聞いていたが、逆の特別扱いかも。 ●ナダルが子どもの頃、大会に優勝して帰宅。家族と親戚が集まってパーティを準備していた。それを見たトニーは、ラファをダメにする気かと本気で怒り、祝福のメッセージを書いた紙を壁から引きちぎってパーティを解散させた。 ●ニューヨークを3人で歩いていたとき、たまたまナダルが真ん中だった。トニーが突然、「ダメだ」と声を上げた。ナダル大将に取り巻き2人のように見えるから端を歩け、と。もう一人が過剰さにあきれて言い争いに。それも含めてトニーだと理解しているナダルはおとなしく端に寄る。 ●逆に、ナダルとトニーの対立を周りが取りなすことも。 ●そんな感じだけれども、ナダルはトニー・コーチとの関係を解消する気はない。他のさまざまな役割のサポートメンバーについても同じ。テニスでの成功以上に、彼らとの関係が大切と言わんばかり。強い信頼関係と友情はうらやましいほど。ほんとうに人間関係を大事にしていることがわかる。 ●2005年、19歳のとき、足の舟状骨(甲の突起している部分)の痛みが激化。医師から、もうテニスができなくなるかもしれないと言われ、泣きくずれる。舟状骨が骨化しない幼年期に激しい運動をすると大人になって痛みが出てくる。父は、たとえあらゆる治療がうまくいかなくても、お前ならゴルファーでも成功する、と励ました。問題は、特殊なインソールを入れてプレーすることで解決に向かうが、それはこれまでのバランスが変わることであり、膝や背中などに新たな問題が生じるかもしれないとも言われる(もしかしたら膝の痛みもそのせいか)。いまもインソールの微調整を続けながら、時限爆弾を抱えてプレーをしている。 ●長く続いているステディなガール・フレンドがいるが、あまり観戦に来ないし、メディアにも出ない。仕事を休んでまで応援には行けないし、そんなことをしてもナダルが喜ばないと知っている。 ●妹と仲が良い。しょっちゅうメールのやりとりをしているが、妹は、どんな些細なことでも悪いニュースは兄を動揺させるから知らせられない、と考えている。 ●マヨルカ人はスペインのなかでもとくに先祖代々住んでいる町や村に強い帰属意識を持っている。富や名声より人との絆が大事。有名人でも特別視・特別扱いしない。誰もサインをせがまない。 ●根っからのマヨルカ人であるナダルはマヨルカが大好きで、他の都市に住むことは考えられないし、試合が終わると飛んで帰る(スポンサーのプライベート・ジェットは断っているナダルなので、格安航空便に乗ることもある)。 ●心配性、臆病(雷と犬が怖い)、自動車の運転が下手(むちゃくちゃゆっくり運転する)、テニスのこと以外では優柔不断(親が決めてくれたり、選択の余地がなくなるとホッとする)。 ●ハードなトレーニングで知られるが、トレーニングではランニングはしない。テニスはダッシュの繰り返しなので、ランニングで鍛えるのは逆効果というのが、彼が信頼するトレーナーの考え。有酸素運動はテニスで十分まかなえていると考えている。 ●日本食が好き。ニューヨークでもメルボルンでも、いきつけの日本食レストランがあるみたい。 ●フェデラーを尊敬しているが、「辛抱強く返球すれば、いずれミスを誘える」と考えている。 ●ジョコビッチについては「はっきりとした戦略を立てられない」「彼を優位に経たせてしまえば、止めようがなくなってしまう」と警戒。この本の出版後、負け続けているのは皮肉な巡りあわせ。 ●半端ではないレアル・マドリードのファン。日曜日に決勝戦、月曜の治療(膝の特別な注射)のために1300キロを父の運転でドライブ。それもすごいが、友人の家で宅配ピザを食べながらテレビでレアルの勝ちを見届けてから真夜中に父が運転する車で出発したというから驚き。 ●2010年全米の前にサーブのときのグリップを微妙に変えて、より厚く当たるように。スライスサーブを改良。「サーブは確信を持って打てない」「特に緊張すると、リズムが崩れてしまう」「本来右利きなのに、テニスだけ左手でプレーしているので、神経回路が混乱するのかもしれない」と自己分析。 ●自分でも認めるほど謙虚。そこはトニー・コーチの指導の影響もありそう。謙虚さについてナダルの言葉。「謙虚とは、天賦の才だけでは勝てないと自覚し、試合の大事な場面で集中力を最大限に発揮することの重要性を理解することだ」。 ●格下の相手も尊敬する。尊敬のあまり防御的、守備的にプレーする傾向があるが、それが取りこぼしがすくない理由と自己分析している。 ●とにかく集中することに集中している。それのみが勝敗を分ける、と考えている。ゲームプランを考え、それを徹底的に行なおうとする。深く考え、相手と自分のメンタルな動きをつねに見つめながら試合している。 ●「ナダル」はカタロニア語やマヨルカ島の方言で「クリスマス」を意味する。ちなみに「フェデラー」は「羽毛商人」。 例によって長いメモになりました。ここまでつきあってくださった方は、以前書いた力作(笑)2編にもあらためてリンクしたので、ぜひお読み下さい。 トニー・ナダルが語るラファエル・ナダルの強さの秘密 必殺の一撃 ●ご用とお急ぎでない方はワンクリックをお願いします。 ●もっとご用とお急ぎでない方は▶所長の読書ブログもご笑覧ください
by tennis_passtime
| 2012-02-25 12:02
| ●読書ノート
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