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![]() 藤野良孝著『スポーツオノマトペ』(小学館、2008年)は、一流アスリートのオノマトペの実例を紹介し、オノマトペの効果とその生理学・心理学的根拠を論じ、最後に効果的なオノマトペの作り方を教えてくれる本です。サブタイトルは「なぜ一流選手は「声」を出すのか」 フランス語で onomatopée(オノマトペー)、英語でOnomatopoeia(オノマトピーア)。擬音語(物が発する音)、擬声語(人や動物が発する声)、擬態語(状態や感情などの音を発しないものを字句で模倣したもの)などが含まれるようです。 と言ってもピンとこないかもしれないので、実例を挙げると…… 室伏広治「ンッガアァァァァー」 ターザン「ア〜アッア〜」 ケンシロウ(北斗の拳)「アタタタタタタタタ」 ブルース・リー「アチャー」 ジャッキー・チェン「ヨッ」「ハッ」「フ」「ウワ」 シャラポワ「ンアー」「アーンッ」 上野由岐子「ヨイッショー」(投球時) 福原愛「サー」(ポイントが決まった時、決まるのが確実なスマッシュの時など) 亀田興毅「シャー」(挑発的叫び) 北島康介「ウォー」(勝利の雄叫び) 末次慎吾「ダラ〜」(蹴らない走りのイメージを表現する末次語) 川本和久(福島大学陸上競技部監督)「ポン・ピュン・ラン」 などが、この本には出てきます。 以下、ポイントだけ簡単に。 ■オノマトペは以下の効果によってパフォーマンスを向上させる(おもにp.34-35、112) (1)パワー、スピード(運動制御のリミッターを外すシャウト効果) (2)リズム、タイミング (3)リラックス (4)モチベーション(集中力維持、自己暗示、お守り効果) (5)威嚇、挑発 ■オノマトペは以下の効果によって指導の質を高める(おもにp.128-137) ・共有効果(微妙な運動・動作を1音節の情報に記号化して共有できる:サッ、スッ、クルッ、グイッなど) ・記憶効果(理屈の説明はそのとき理解しても忘れるが、オノマトペは記憶に残る) ・形容効果(教える側と教わる側のイメージの食い違いを抑える) 例:跳び箱を跳ぶときの「助走→踏切→手をつく→着地」という一連の動きを、「サー・タッ・パッ・トン」と教える ■スポーツオノマトペの作り方(p.164-167) (1)イメージ法(運動にマッチするイメージを連想) (2)ミミック法(誰かのまねをする) (3)ムーブメント法(実際の動きから) 本からの紹介は以上です。 ここまで書いていたら、テレビで、女子陸上100mの福島千里選手が、速さの秘訣をたずねられて、「スッ、スッという感じ」とか「下り坂をコロコロコロと転がって行くイメージ」と答えていました。 声を出すテニス選手はインパクトの瞬間に唸っていると思いますが、デメンティエワはテイクバック終了時に「ハーッ」と発して、それからフォーワードスィングを始めていると思います。力みを抜く効果があるような気がします。 私のオノマトペは「エイ!」(気合いを込めて打つとき)と「ヨッシャー」(ショットが決まったとき)ぐらいです。あまり面白くないですね。私に必要なのはパワー効果よりリラックス効果なので、各ショットの精度を上げる、しかもうんとユニークな、ギャグみたいなオノマトペを考えてみようかな。 ●ご用とお急ぎでない方はワンクリックをお願いします。 ![]()
by tennis_passtime
| 2010-07-27 00:06
| ●雑学・技術・科学
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