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![]() ![]() 歳を取るにつれて時間が経つのが速くなるような気がします。なぜでしょう? 同じ長さの時間でも、それが人生に占める割合が、歳を取るほど小さくなるからです。同じ1年でも、10歳の子どもにとっては人生の10分の1ですが、50歳の人にとっては50分の1でしかないということです。 「感じられる時間の長さは年齢と反比例的な関係にある」というのは、フランスの哲学者ポール・ジャネーとその甥の心理学者ピエール・ジャネーが1928年に出版した本で発表した経験と直感に基づく仮説で、「ジャネーの法則」というのだそうです。 このたび私は、ジャネーの法則より説得力のある説を、小池龍之介という若い(31歳)お坊さんが書いた『考えない練習』(小学館)という本で知りました。 ちょっと長くなりますが引用します。 1秒のあいだ人の話を聞いていても、そのうち0.1秒は聞いていても、残り0.9秒は、「相手が自分をどう思っているか」という思考や、過去のノイズが残響していて、五感が鈍り、ぼんやりとしているのです。 う〜ん、納得。 小池さんは多くの人が陥っているこの傾向を「思考病」とか「頭のなかへの引きこもり」という言い方で表しています。ジャネーの法則だと、時間が経つ速さを遅くすることはできませんが、小池さんが説く「思考病」なら、本人の努力でなんとかできそうです。 どういう努力をすればよいのでしょう。小池さんは、いましていることに徹底的に集中することを勧めています。ものを食べているなら、他のことを考えながら食べるのではなく、舌の動きを意識し、食べ物が歯で砕かれ、すりつぶされ、食感が変化していく感覚に意識を向けることを勧めています。 このように食べる練習を続けるうち、いままで大ざっぱにまとめあげ切り捨ててきた、細やかな「現実」そのものが少しずつ見えてくるはずです。それに向かって意識を肉迫させ、しっかり食事に取り組めば、充実しているとか幸せであるということは、実は「何を食べているか」にはほとんど依存しておらず、単に「食べているものに、しっかり心がとどまっているか、いないか」ということによってのみ決まっているのだ、とわかってくることでしょう。(p.137) テニスのメンタルタフネスを教える名著『インナーゲーム』にも、考えずにプレーすることの大切さと難しさ、身体感覚に身を任せて自動運転状態にはいる(ゾーンに入る)ことの快感と幸福感が書かれています。練習方法としては、たとえばボールをよく見る……ケバケバやプリントされたブランド名を読むぐらいの注意力で見る……といったことが挙げられています。『考えない練習』の食べる練習とまったく同じことです。 『インナーゲーム』は禅の世界観に立った指南書ですから、小池さんの教えと共通するのは当然かもしれません。かくして人生の幸福とテニスのパフォーマンスが一本の道筋に並びました。 ●ご用とお急ぎでない方はワンクリックをお願いします。 ![]()
by tennis_passtime
| 2010-04-08 00:45
| ●読書ノート
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