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朝日新聞(7月17日付スポーツ欄)に掲載された小さな記事が目を引きました。
▼ガスケの復帰を認める 薬物検査でコカインに陽性反応を示し、出場停止の仮処分を科されていた男子のリシャール・ガスケ(仏)について、国際テニス連盟(ITF)は15日、ツアーへの復帰を認めたと発表した。ITFはガスケの陽性反応は意図的なコカイン摂取によるものではなかったと判断。(ロイター共同) この記事を読んで思い出したのは、もちろんマルチナ・ヒンギスのことです。やはりコカイン摂取の疑惑が浮上したヒンギスは、2007年に引退を選択しています。ヒンギスの引退とテニス界の反ドーピングについて論じたTENNIS誌(April2009)の記事を再読してみました。以下はその要点です。 テニス界の反ドーピング ●国際テニス連盟(ITF)は世界反ドーピング機関(WADA)と契約している。そのためWADAは、大会期間中でも期間外でも、選手をランダムに選び、事前通告したうえで尿と血液の検査を行なうことができる。 ●テニスのドーピング検査は他の競技より厳しく、テニスファンはトップ選手の成績が薬物によるのではないかと心配する必要がない。それはありがたいことである。 ヒンギスのケース ●技術とメンタルが重要なテニスでは運動能力向上薬(PED)がもたらすメリットは小さい、とテニス選手は考えている。とくに、ヒンギスが陽性反応を示したコカインは、一般にもPEDとは考えられていない。 ●テニス選手はドーピング検査の厳しさを知っている。特にメジャー大会でのトップ選手に対する厳しさはよく知っている。過去何十回もの検査を受けているヒンギスが、効果さえ疑わしいコカインをウインブルドン大会の開催中に使用するということは考えにくい。 ●ITFは、かつての女王ヒンギスと、自らの選択で契約したWADAの板ばさみになり身動きがとれなくなり、ヒンギスは独自に戦わなければならなくなった。 ●ヒンギスは、独自に行なった毛胞検査が陰性であったこと、なんらかの理由で採取された試料が汚染された可能性があること、コカインはPEDではないことなどを訴えたが裁定機関に却下された。 ●WADAのプロトコルは、疑惑の対象となった選手を社会的なさらしものにする危険がある。事実、ヒンギスのコカイン使用に関しては好色な見出しが躍った。ヒンギスは、好奇の目にさらされながら、長く続くであろうコート外の戦いを続ける意欲を失ったと思われる。涙の会見に無念さが滲んでいた。 ある選手のケース ●ニュージーランドのマーク・ニールセンは、抜け毛予防の薬を使用していたが、それに含まれるフィナステライドはPED隠蔽効果があるという理由で禁止薬物に指定されていた。2006年にニールセン(当時29歳)は反ドーピング違反に問われた。 ●2008年になって、フィナステライドはPED隠蔽効果なしとして禁止薬物から除外されたが、同選手の失われた時間は取り戻せず、名誉も回復されたとは言いがたい。 記事の要約はここまです。ヒンギスはTENNIS誌のインタビューに応じなかったそうですが、記事のトーンはヒンギスに同情的です。ガスケのコカイン使用疑惑が報じられたとき、他のテニス選手のあいだからも、コカイン使用者とキスをしただけでも陽性反応が出る検査に問題がある、という声があがったそうです。TENNIS誌の記事も、反ドーピングの精神は称えるべきだが、つかまった選手は反ドーピングのメカニズムの犠牲者かもしれないということを忘れてはならない、と締めくくっています。 追記:ガスケの場合の詳しい状況に触れているブログ記事を発見しました。ガスケはとりあえず無罪放免になりましたが、こんどはキスした相手の女性がガスケを訴えたりして、完全な一件落着ではなさそう。リンクはこちら ●もういちどヒンギスのプレーを見たいという方はワンクリックお願いします。
by tennis_passtime
| 2009-07-19 18:04
| ●雑学・技術・科学
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