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フェデラーはラケットの先に構えているナダルを凝視した。ナダルの青眼の構えは堅牢無比で、一分の隙も見出せなかった。それでいて足のくばり腕のそなえは、やわらかく無限の弾力を秘めているように見え、機に応じて攻防いずれにも変化する動きを隠していることがあきらかだった。 フェデラーvsナダル、先日のマドリード決戦の一瞬を描いてみました。なかなかの名文だと思いませんか……ごめんなさい、ウソです、私が書いたんじゃありません。これは藤沢周平の『蝉しぐれ』に描かれた、牧文四郎と興津新之丞の奉納試合の場面なのです(文春文庫版262ページ)。文中の「文四郎」を「フェデラー」に、「興津」を「ナダル」に、そして「竹刀」を「ラケット」に置き換えたら、あら不思議、神社の境内からスペインのクレーコートにワープしてしまいました。 藤沢ファンからのお叱りを覚悟で、もう一箇所(265ページ)、同様の引用(?)をさせてください。フェデラーとナダルの戦いの構図そのものが書かれていることに驚きます。 ナダルが見せた変化は隙ではない。だが鉄壁の守りの中に生じた、髪の毛ほどの間隙ではあった。フェデラーの打ちこみは、その間隙をひろげようとしたものだった。不思議なことだが、ナダルの守勢はフェデラーを圧迫した。そのままに推移すれば、ナダルの術中にはまるという不安感をあたえるものだった。その粘っこい守りの型を破るためにも、機を見て打ち込むことが必要だったのである。 ●ご用とお急ぎでない方は下のアイコンに応援のワンクリックをお願いします。 ![]() ![]()
by tennis_passtime
| 2009-05-24 12:31
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