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百田尚樹『ボックス!』(太田出版、2008年)は、大阪の高校が舞台の、激しく殴りあう、痛いけど快い(痛快ってそういう意味だったりして)青春ボクシング小説です。585ページを熱く一気読みしました。タイトルの「ボックス」は、「ボクシングする」という意味の動詞です。 天才ボクサーにして直情アホの鏑矢義平、その親友で秀才の木樽優紀、美人教師の高津耀子の3人がメインキャラクター。ほかに、ボクシングの恐さと挫折を知る顧問・沢木、ライバル校の超高校級選手・稲村、難病を抱えながらも明るい女子マネージャー・丸野、伝説の老トレーナー・曽我部(あしたのジョーの丹下)など、さまざまな登場人物が躍動する、血湧き肉踊るストレートな成長小説でもあります。 ボクシングという競技の特殊性やテクニックのディテールもよくわかりました。もちろん自分にできるスポーツではありませんが、観戦したいという思いは激しく強まりました。 話の中で、ボクシングは特別なスポーツだという耀子の感慨が何度か語られます。たしかに、生存をかけた闘争(生きるか死ぬかの殴り合い)と地続きの格闘技ですから、他のスポーツとは醸し出される空気の重さが違います。経験者でなくても殴られる痛さや恐さは想像できますし、競技に打ち込む動機も人間の実存に迫るものがありますから、小説や映画の題材になりやすいのかもしれません。 蛇足ながら、天才と努力家を結ぶ友情、努力家が天才に追いつき追い越す成長過程、高校の運動部という舞台設定、魅力的な監督や部員たちの存在、インターハイや国体といった大会スケジュールに沿った物語の展開、壁のように立ちはだかるライバル選手の存在、そしてさわやかな読後感……佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』と似ている点がたくさんあると感じました。 ●ご用とお急ぎでない方は下のアイコンに応援のワンクリックをお願いします。
by tennis_passtime
| 2009-04-26 16:52
| ●読書ノート
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