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![]() テニス小説とは何か。数日前、私なりの条件を書きました。 ・テニスが主人公のキャラクターや物語のモチーフと分かちがたく結びついている。 ・競技としてのテニスやプレーヤーの心技体が、それなりの紙幅を割いて描写されている。 ・作品に出てくるテニスを他の何かに置き替えることができない。 福田隆浩『熱風』(講談社、2008年)は、上の3条件すべてを高度に満たす正真正銘のテニス小説です。夢中になって一気に読了しました。 舞台はN市。主人公は聾学校に通う中学2年の孝司。障害に悩み、親の重荷となっていることに負い目と苛立ちを感じながら、テニスに打ち込むことで壊れそうになる自分を支えている。孝司の前に現れた中山順一も、思春期の少年には残酷な難病(難治性皮膚疾患・汎発型円形脱毛症)に苦しむとげとげしいテニス少年。同じような屈託を胸に秘めた少年2人は、強烈に反目しあいながら、コーチの強引な導きでダブルスを組み、いわく因縁のある相手との戦いに臨むことになる。 テニスの描写も巧みで、自己の存在証明を賭けて戦うクライマックスの試合では手に汗を握ります。草トーナメントの2回戦、6ゲーム先取マッチ。日本のそこらじゅうで行われているような試合に30ページも費やしながら弛みがありません。泣かせどころもたっぷりです。勝利主義のスポ根ものでもヒーローものでもありません。言葉の真の意味でテニスに救われる少年たちの日常のドラマです。エンディングでは、そうくるか、と唸らされました。名作と断言します。 いくつか印象に残った箇所を抜粋します。 ぼくはラケットをバックハンドに引きながらボールの動きを追った。 著者は1963年生まれ。長崎県立鶴南養護学校時津分教室勤務。障害を持つ子どもの心が切々と描けているのは仕事柄でしょう。きっといい先生なんだろうと思います。本作『熱風』で第48回講談社児童文学新人賞佳作入選。そういえば先日紹介した『透きとおった糸をのばして』も同じ賞の大賞でした。この賞はテニスが好きなのでしょうか。一瞬、私も挑戦してみようかなという気になりました。 ●ご用とお急ぎでない方は下のアイコンに応援のワンクリックをお願いします。
by tennis_passtime
| 2009-04-14 23:56
| ●読書ノート
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