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25km地点で残りの距離と時間から完走ペースを計算した私は、まだ行けると考えました。と、そのときです。後ろから、「4時間のペースランナーが行きま~す」という元気のよい女性の声が聞こえたかと思うと、目印の風船を頭上に泳がせながら走るペースランナーと、彼女をとりまく元気な集団が一気に私を追い越して行きました。
河口湖マラソンは湖畔を2周しますが、私は相当早い段階で周回遅れとなっていたのです。「そうか、彼らはあと少しでゴールなんだ……私はあと17km、湖をもう1周しなければならない。でも負っけるもんか!」と歯を食いしばって、ほんの一瞬、4時間集団を追いかけました。いや、追いかけてしまったというべきでしょう。そのために私は、あと1周のランナーは左、ゴールするランナーは右、という分岐点の存在を完全に見落としてしまったのでした。 はっと気づくと、そこはゴールゲートへとつながる広いフィニッシュゾーン。両側には応援や見物の人々が大勢いて、声援が飛び交っています。「あれ……あと15kmはあるんだけど、どこを走ればいいの? ゴールしちゃうじゃない……しまったコースを間違えた!」 そう思った私は足を止め、走ってきた道を引き返そうかと思いました。でも、戻れませんでした。分岐点から何キロ間違えて走ってしまったのかわからなかったこともありますが、それよりも、大勢の人が見守るなか、そこでクルリと向きを変えて逆走を始める勇気がありませんでした。いくらなんでも恥ずかしい。 自分はまだゴールなんかしたくないのに、世の中の流れは私をゴールへと押しやろうとしています。私は夢遊病者のような足取りで、ふらふらとゴールラインをまたいだのでした。 全力を出し切った満足感もなければ、これで休めるという安堵感もありません。制限時間オーバーのときの疲労困憊感もありません。もちろん、全然うれしくなんかありません。唐突な断絶感、後ろめたさ、恥ずかしさ……およそこれまでのマラソンで味わったことのない不思議な感覚に呆然と立ち尽くしました。これぞ「長距離ランナーの気の毒」……とボケてみましたが笑う気にもなりませんでした。 とはいえ、精神的に立ち直りが早いのも芸のうち。完走Tシャツも完走証もちゃっかりいただきました。 記録:4時間01分44秒(ネットタイム3 時間44分18秒)ただし27km 順位: 2172位(6778人中)ただしハンデ15.195km いっしょに走った仲間はみんな、コースを間違えることなく無事完走しました。河口湖の教訓:マラソンの前の晩は、深酒をつつしみ、おとなしく早く寝ること。 ということで、実際の走りで粘れなかったぶん、ネタとして思い切り引っ張ってしまいました。しょうもない話におつきあいいただき、ありがとうございました。所長を襲った悲劇……あなたの予想は当たっていたでしょうか? 写真は疑惑の完走Tシャツ ●ご用とお急ぎでない方は下のアイコンに応援のワンクリックをお願いします。
by tennis_passtime
| 2008-12-03 23:12
| ●所長のマラソン・登山
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