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プロテニスのATPツアーでは、今年行なわれる11の大会で、いきなり一発勝負のトーナメントを行なうのではなく、3人1グループのラウンドロビン(3つ巴リーグ戦)を組み合わせる方式を試験的に採用することが決まっています。
草トーナメントでよくある「予選リーグ」みたいなものです。ランキング下位の選手のためには、ラウンドロビンに出場するための予選があるので、「予選リーグ」というわけではなく、あくまでも本戦ですが。草トーナメントがラウンドロビン方式を採用するのは、1試合しかできない人が出るのは気の毒という理由からでしょうが、プロの世界では、人気選手が早々と敗退するリスクを減らすという興行上の理由があるのだろうと思います。 さて、3月4日に終了したテニス・チャンネル・オープン(ラスベガス)は、そんなラウンドロビン方式を採用した大会でしたが、1つのグループが微妙な結果になり、大会側の不手際もあってちょっとした混乱がありました。 問題は、大会第1シードのジェームズ・ブレーク(アメリカ 写真左)、エフゲニー・ ブレーク対デルポトロの試合で、ブレークが6-1、3-1とリードしたところで、デルポトロがリタイアした結果、3選手の最終的な対戦結果は次のようになりました。 ブレーク コロレブ デルポトロ セット率 ゲーム率 順位 ブレーク -------- 2-6, 4-6 6-1, 3-1 50% 33.3% 2 コロレフ 6-2, 6-4 -------- 3-6, 2-6 50% 48.6% 1 デルポトロ 1-6, 1-3(ret) 6-3, 6-2 --------- 3人とも1勝1敗で並んだかたちですが、デルポトロだけは1試合しか完了していないという点で3位が確定しました(順位確定ルールの詳細はこちらをご覧ください)。残るはブレークと 何か問題でも? 問題大ありです。 もしデルポトロがリタイアせず最後まで戦っていたとしましょう。そしてブレークが2セット目を取ってセットカウント2-0で勝っていたとしましょう。6-1、3-1と進行していた試合ですから、その可能性は大ありです。そうすると3者が完全に1勝1敗で並びます(今度はデルポトロが自動的に3位となる理由はありません)。 この場合、セット獲得率で順位が決まるのですが、この仮定では3人とも50%で並びます。そうなると、今度はゲーム獲得率で順位が決まります。ブレークが2セット目をいくつで勝ったかが決定的に重要な意味を持つことになる……と思って計算してみたら、なんと6-5でも7-5でも、タイブレークにもつれこんで7-6でも、とにかく勝ちさえすれば、ゲーム取得率48.6%の ブレークは6-1、3-1と圧勝ペースに持ち込んだために、相手を戦意喪失させリタイアに追い込んだと言えなくもありません。こうなることがわかっていれば、相手に勝てるかもと思わせて試合を続けさせ、しかし6-4とか7-5とかで勝っていればよかったということになります。デルポトロはリタイアすることで、結果的にブレークの勝ち上がりを阻止したことになります( おまけに、大会運営側のATPの偉い人が勘違いして、「ブレークが1位だ」みたいなことを言ってしまいました。素朴な感覚としてはわからないではありませんが、ATPが決めたラウンドロビンの順位決定方式に従えば(従うしかありません)、やはりコロレブが1位なのです。早トチリ氏は発言を撤回して謝り、ぬか喜びさせられたブレークも紳士らしく事を荒立てなかったので大事には至りませんでしたが、後味の悪さが残りました。 フェデラーは、負けた選手が次に進めるのは勝負の世界の基本精神にもとる、という単純明快な理由でラウンドロビン方式に反対を表明しています。たしかにこういうケースが出てしまうと、変な駆け引きの温床になる可能性は感じますね。ラウンドロビン方式はどうなるのでしょう? 追記:この出来事の直後、ラウンドロビン方式は中止になりました。くどくど書いた自分がバカに思えるほど、すばやいATPの対応でした。
by tennis_passtime
| 2007-03-09 23:05
| ●雑学・技術・科学
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